「もっと手取りを増やしたいけれど、これ以上給料を上げると社会保険料や所得税が跳ね上がってしまう……」そんな悩みを持つ経営者の方は多いのではないでしょうか。
実は、会社で賃貸物件を契約し、それを「社宅」として役員に貸し出すだけで、合法的に大きな節税効果を生むことができます。
今回は、「役員社宅」を活用して会社と個人の支出を最適化する方法について、税理士の視点から日本一わかりやすく解説します。
そもそも「役員社宅」でなぜ節税できるのか?
仕組みは非常にシンプルです。個人で家賃を払うのではなく、「会社が家賃を支払い、役員から一定の賃料(賃料相当額)を受け取る」形に変えるだけです。
節税の3大メリット
- 会社の経費が増える
会社が支払う家賃全額が経費(地代家賃)になります。 - 個人の所得税・住民税が下がる
給与として受け取っていた分を社宅という「現物給付」に置き換えるため、個人の課税対象となる所得が減ります。 - 社会保険料が安くなる
額面給与を抑えられるため、会社・個人双方の社会保険料負担が軽減されます。
【ここが重要!】
会社が全額負担すると「給与」とみなされて税金がかかります。しかし、役員が「賃料相当額」を会社に支払っていれば、会社負担分は非課税となります。
【1分で把握】いくら払えばいい?「賃料相当額」の計算
「会社が家賃をいくら負担していいのか?」が一番の悩みどころですよね。一般的に、役員が会社に支払うべき「賃料相当額」は、実家賃の10%~20%程度で済むケースがほとんどです。計算には「固定資産税の課税標準額」などが必要ですが、実務上は以下の2つの区分で考えます。
小規模な住宅(床面積が木造132㎡以下、それ以外99㎡以下)
以下の算式で計算した合計額が「賃料相当額」になります。
- (その年度の家屋の固定資産税の課税標準額) × 0.2%
- 12円 × (その建物の総床面積 / 3.3㎡)
- (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額) × 0.2%
ざっくり言うと賃貸マンションであれば、家賃の10~20%程度を役員が負担すればOKとなることが多いです。
それ以外の住宅(豪華社宅を除く)
小規模住宅に該当しない場合、おおよそ家賃の50%程度を負担する必要があります。
具体的なシミュレーション:手取りはどう変わる?
家賃20万円のマンションに住んでいる社長(独身・年収1,200万円)の例で比較してみましょう。
| 項目 | 個人契約(社宅なし) | 法人契約(役員社宅) |
| 額面給与(月額) | 100万円 | 82万円(18万円減額) |
| 会社が払う家賃 | 0円 | 20万円 |
| 役員が払う賃料 | 20万円(手出し) | 2万円(給与天引き) |
| 個人の手取り額 | 約65万円 | 約60万円 |
| 家賃支払い後の残金 | 45万円 | 58万円 |
結果として月間で約13万円、年間で約156万円も「自由に使えるお金」が増える計算になります。※社会保険料や税率の軽減効果を概算で含んでいます。
税理士が教える!実務上の3つの注意点
節税効果が高い役員社宅ですが、税務調査で否認されないためのポイントがあります。
「豪華社宅」はNG
床面積が240㎡を超えたり、プールがあったり、個人の趣味が反映されすぎた「豪華社宅」の場合、家賃の全額または大部分を自己負担しなければなりません。一般的なマンションであれば問題ありません。
必ず「法人名義」で契約する
個人の契約のまま会社が補助を出すと、それは単なる「住宅手当」となり、全額に所得税がかかってしまいます。必ず会社が契約主となり、大家さんに会社から家賃を振り込む必要があります。
賃料を「1円」でも安くしすぎない
計算された「賃料相当額」よりも役員が支払う額が少ない場合、その差額が「役員賞与」とみなされるリスクがあります。役員賞与になると、会社の経費として認められない(損金不算入)最悪の事態になりかねません。
まとめ:今すぐ賃貸借契約書を確認しましょう
役員社宅は、キャッシュアウトを増やすことなく、仕組みを変えるだけで手取りを増やせる最強の節税術の一つです。
- 今の自宅を法人契約に切り替えられないか?
- 引っ越しを機に法人名義にできないか?
これらを検討する価値は十分にあります。ただし、物件の広さや固定資産税の評価額によって最適な負担額は異なります。
「自分の場合はいくら負担すればいいの?」「契約書の巻き直しはどうすればいい?」と不安に思われた方は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。
貴社に最適なシミュレーションを作成いたします。


