【計算式つき】専門用語ゼロでわかる!従業員1人を雇うときに会社が支払う「お金の全内訳」決定版

法人経営
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「そろそろ1人では回らなくなってきたから、従業員を雇いたい」
「でも、給料以外に会社はいったい、いくら払うことになるんだろう…?」

経営が軌道に乗り、初めての求人を考えている経営者やフリーランスの方にとって、「人を1人雇うコストの正体」は非常に見えにくいものです。

「給料のほかに社会保険料がかかる」とは聞くものの、具体的に何%で、毎月いくら口座から引き落とされるのかが分からないと、怖くて採用に踏み切れませんよね。

この記事では、「法定福利費」などの難しい専門用語は一切使いません!「給料30万円の人を1人雇ったら、会社の財布から合計いくら出ていくのか」を、日本一わかりやすくシミュレーションつきで解説します。

この記事を読めば、1人雇うために必要な「会社の売上・粗利の目安」が5分で計算できるようになります。


結論:従業員を1人雇うと、会社の負担は「給料の約1.15倍」になる!

まずは一番知りたい結論からお伝えします。

従業員を1人雇うとき、会社が支払うお金は「毎月の給料」だけではありません。会社には、法律によって「社会保険料」をペアで負担する義務があるからです。

この会社負担分をざっくり計算すると、「額面給与の約15%」になります。

つまり、こういうことです。

【超基本の数式】

従業員の合計コスト = 額面給与 + (額面給与 × 約15%) ≒ 額面給与の1.15倍

「給料30万円で求人を出そう」と思ったら、会社の実質的な負担は毎月約34.5万円になります。まずはこの「1.15倍の法則」を頭に叩き込んでおきましょう。


会社が支払う「お金の全内訳」:4つの保険の正体

では、給料に上乗せされる「15%(約4.5万円)」の内訳はどうなっているのでしょうか。

会社が強制的に加入しなければならない保険は、大きく分けて「社会保険」と「労働保険」の2グループ(合計4種類)あります。

会社が負担する保険料の一覧(ざっくり目安)

保険の名前グループ会社が負担する理由会社負担の目安(給与に対する割合)
① 健康保険社会保険従業員が病気やケガをしたときのため約5.0%(都道府県や年齢で微増)
② 厚生年金保険社会保険従業員の老後の生活を支えるため約9.15%
③ 雇用保険労働保険従業員が失業したときの手当てなどのため約0.95%(一般的な事業の場合)
④ 労災保険労働保険仕事中や通勤中にケガをしたときのため約0.3%(オフィスワークの場合)
合計約15.4%

※保険料率は法改正や業種、40歳以上(介護保険料)かどうかで多少前後しますが、実務上は「合わせて約15%」と覚えておけば間違いありません。

それぞれの保険について、専門用語を抜きにしてザックリ解説します。

健康保険(約5.0%負担)

従業員が病院にいったとき、3割負担で済むのはこの保険のおかげです。

「本人が給料から払っているのでは?」と思うかもしれませんが、実は「本人が払う分と同額を、会社も裏でピッタリ同じ額だけ支払う」というルール(労使折半)になっています。

厚生年金保険(約9.15%負担)

従業員が将来もらう年金を増やすための仕組みです。

こちらも健康保険と同じく、「本人が払う分と全く同じ額を、会社もセットで支払う」ルールです。18.3%という高い保険料率を、会社と従業員で半分ずつ(9.15%ずつ)分けて負担します。ここが一番大きな出費です。

雇用保険(約0.95%負担)

万が一、従業員が辞めたときに「失業保険」を受け取ったり、育児休業をとったときに給付金をもらったりするための保険です。

これは会社と従業員で半分こではなく、会社のほうが少しだけ多く負担するルールになっています(一般的なビジネスの場合、会社:0.95%、従業員:0.6%など)。

労災保険(約0.3%〜負担)

仕事中や通勤途中に従業員がケガをした場合、治療費などが全額支給される保険です。これまでの3つと違い、「100%会社が全額負担」します。従業員の給料からは1円も引き落とされません。

なお、デスクワーク中心の会社なら0.3%程度と格安ですが、危険を伴う建設業などでは比率が高くなります。


【計算シミュレーション】給料30万円のスタッフを雇った場合の毎月のリアルな支出

それでは、具体的に「月給30万円(基本給25万円+各種手当5万円)」の正社員(30歳・東京のIT企業勤務と仮定)を1人雇った場合の、1ヶ月のリアルなお金の動きを追いかけてみましょう。

従業員の通帳に振り込まれる金額(手取り)

まず、従業員目線のお話です。給料30万円から、本人の保険料や税金が引かれます。

  • 額面給与
    300,000円
  • 引かれるお金(本人負担の社会保険料・税金)
    約55,000円
  • 従業員の手取り
    約245,000円

会社の口座から引き落とされるお金(会社負担)

ここからが経営者であるあなたの本番です。給料30万円とは「別に」、会社が負担する保険料を計算します。

  • 健康保険料(会社負担)
    約15,000円
  • 厚生年金保険料(会社負担)
    約27,500円
  • 雇用保険料(会社負担)
    約2,850円
  • 労災保険料(会社負担)
    約900円
  • 会社負担の保険料合計
    約46,250円

【結論】会社が毎月支払う総額

会社がこの従業員1人のために用意しなければならない毎月のリアルなお金は、以下の通りです。

額面給与300,000円 + 会社負担の保険料46,250円 = 346,250円

従業員の手取りは24.5万円ですが、会社の財布からは約34.6万円が出ていきます。

この「手取りと会社総支出のギャップ(約10万円)」を知っておかないと、キャッシュフローが急激に悪化してしまいます。


実務上の注意点:求人票に書く「給料」以外に見落としがちな3つの隠れコスト

「よし、給料の1.15倍の資金を用意すれば安心だな!」と思ったあなた、実はまだ罠があります。

実際は、保険料以外にも以下のような「隠れコスト」が確実に発生します。採用計画を立てる際は、これらも予算に組み込んでください。

通勤手当(交通費)

交通費は「実費支給だから給料とは別物」と考えがちですが、実は社会保険料を計算するときの「給料」にカウントされます。

例えば、基本給が30万円でも、定期代が毎月3万円かかる場合、会社は「33万円の給料を払っている」とみなされ、社会保険料の負担もその分アップします。

労働環境の整備コスト(パソコン・デスク・備品)

入社したその日から働いてもらうためには、環境構築が必要です。

  • 業務用パソコン、モニター、周辺機器(約15万〜20万円)
  • オフィスチェア、デスク(約5万〜10万円)
  • 各種クラウドツールの初期アカウント費用、ライセンス料(毎月数千円〜数万円)

これらは採用した初月にドカンと発生するコストです。

求人広告費・採用コスト

そもそも、従業員を募集して面接するまでにもお金がかかります。

求人サイトへの掲載料や、転職エージェントへの成果報酬(年収の30%〜40%が相場)など、1人を採用するために数十万〜数百万円の初期投資が必要になるケースがほとんどです。


税理士からのワンポイントアドバイス:1人雇うために必要な「売上・粗利」のボーダーライン

最後に、税理士として「いくらの売上があれば1人雇っていいのか」という経営判断の基準をお伝えします。

ビジネスの基本として、従業員を1人雇うなら、「その人が発生させるコストの3倍の粗利益(売上から原価を引いたもの)」を稼いでもらうのが健全な経営の目安と言われています。

なぜ3倍なのか、理由はこうです。

  • 1倍分
    その従業員の給料+社会保険料(本人へのコスト回収)
  • 2倍分
    会社の家賃、光熱費、ツール代、広告費などの経費(会社を維持するコストの分担)
  • 3倍分
    会社の利益(次の投資や内部留保、経営者の利益)

先ほどの「給料30万円(総コスト約35万円)」のスタッフであれば、その人が入社することで「毎月105万円以上の粗利益」が増える、あるいは「経営者であるあなたが、それ以上の粗利益を生み出すための時間が作れる」かどうかが、採用のゴーサインを出すかどうかの明確なボーダーラインになります。


まとめ:計画的な採用で、会社を次のステージへ成長させよう!

従業員を1人雇うときに会社が支払うお金の全内訳を解説しました。重要なポイントを振り返りましょう。

  • 会社が支払う総額は、ざっくり「額面給与の1.15倍」になる。
  • 健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険の4つを会社が負担する。
  • 給料だけでなく、交通費やパソコン購入費、求人費などの「隠れコスト」も予算に入れる。
  • 採用の目安は、総コストの「3倍の粗利益」を生み出せるかどうか。

初めての雇用は誰でも不安なものです。しかし、事前のシミュレーションさえしっかり行っておけば、人件費でお金がショートするリスクは100%回避できます。

「うちの今の売上で、本当に正社員を雇っても大丈夫かな?」
「パートやアルバイトの場合の社会保険の基準はどうなるの?」

など、少しでも不安が残る経営者の方は、ぜひ一度当事務所までお気軽にご相談ください。あなたの会社の財務状況に合わせた、精密な人件費シミュレーションを一緒に作成いたします!

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